ご挨拶
日本看護技術学会第22回学術集会
学術集会長 矢野 理香
(北海道大学大学院保健科学研究院)
みなさま、日本看護技術学会第22回学術集会のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。本学術集会は、2024年10月26日(土)・27日(日)に札幌市教育文化会館で開催されます。この時期の札幌は、紅葉が最も美しい時期で、みなさまと議論を深めながら、看護を考える機会となることを心から楽しみにしております。
現代社会は、少子高齢社会と人口減少、想定を超えた大規模災害や人類を脅かす感染症のパンデミック、戦争など、多くの課題に直面しています。その中で、私たちにとって、最も重要なことは何か、それは、ひとりひとりの命であり、健康であり、暮らしです。当たり前の日常を維持すること、その方にとっての最良な心身の状態をつくることが、死に至るまで大切なことだと思います。
私たち看護職は、対象者がどのような状況にあっても、手を通して看護技術を実践し、当事者の生活、生きることを支えています。看護職は、場面ごとに、対象者に寄り添い、専門職としてアセスメントし、少しでも気持ちよくその瞬間を過ごすことができるようにと願いをこめながら、ケア実践しているのではないでしょうか。そして、私たち自身が、何より対象者との関係性の中で、看護を行う者としての喜びとやりがいを感じ、明日への看護につなげているのだと思います。
看護技術の質の均一化を目指すうえでは、エビデンスに基づく技術実践を普及させることはもちろん重要ですが、その時に、対象者に寄り添う丁寧な実践、つまり看護技術の付加価値の要素があることで、よりその効果が発揮されるのではないかと考えます。しかしながら、これを可視化し、技術としてどのように共有できるのでしょうか。つまり、私たち看護職は、看護技術を実践する付加価値をどう実装していけるのでしょうか。
本学術集会では「看護技術の哲学と実装」をテーマに開催いたします。看護技術の本質を改めて問うとともに、臨床現場における実装に向けて必要なことは何か、【研究】【看護管理】【看護教育】などの多側面から議論していきたいと考えております。ぜひ多くの皆様にご参加いただき、札幌の地で対面による熱い議論を交わすことができることを期待しております。